婦人科領域

当センターでは、婦人科良性疾患(子宮筋腫、良性卵巣腫瘍・子宮内膜症など)に対して積極的に腹腔鏡手術を行っています。

【婦人科領域における腹腔鏡手術と開腹手術の施行割合

【腹腔鏡下子宮全摘術】

子宮筋腫は婦人科疾患の中で最も頻度の高いもののひとつですが、手術療法としては子宮全摘術による根治手術と筋腫核出による子宮温存手術があります。従来の子宮筋腫に対する子宮全摘手術は下腹部正中を20cmほど切開する開腹手術でしたが、近年、腹腔鏡下手術の普及に伴い子宮全摘術も腹腔鏡下手術が普及しています。

当センターでは、膣管の切開開放までのすべての操作を腹腔鏡で行う腹腔鏡下子宮全摘術(laparoscopic hysterectomy:LH)および腹腔鏡下子宮筋腫核出術(laparoscopically assisted myomectomy:LAM)を行っています。開腹手術と比較して、①術中の出血量が少ない、 ②傷が小さく痛みが少ない、 ③美容上優れている、 ④入院期間を短縮し、早期社会復帰ができる、などの利点が挙げられます。臍に12mmの孔をあけて内視鏡をお腹の中に挿入します。下腹部には3個の5mm程度の小さな孔をあけて手術施行しますが、それらは手術後、時間が経てばほとんど目立たなくなります。基本的に卵巣は温存します。子宮を支持する靭帯の切離や吸収糸を用いて子宮動脈の結紮切離、全周性に膣管の切開を腹腔鏡操作で行っています。切除された子宮は膣から摘出し回収します。腟壁の連続縫合を腹腔鏡下に施行し膣断端を閉鎖します。手術の前日に入院していただき、術後5~7日で退院となります。

【腹腔鏡下子宮全摘術の実際】

【腹腔鏡下子宮附属器腫瘍摘出術】

卵巣は子宮と骨盤に靭帯でぶら下がっている子宮の左右にある2~3cm大の臓器です。その卵巣にできる腫瘍が卵巣腫瘍です。卵巣腫瘍は良性腫瘍、境界悪性(中間型)腫瘍、悪性腫瘍に分類され、その種類は多彩です。治療は手術療法が原則です。附属器(卵巣と卵管)ごと摘出する方法(附属器摘出術)、腫瘍だけを摘出し卵巣実質を温存する方法(卵巣腫瘍摘出術)があります。卵巣腫瘍摘出術は、良性腫瘍と予想されており妊娠出産の希望がある場合や反対側の卵巣を既にとっている場合などに行います。当センターでは、ほぼすべての卵巣腫瘍に対する手術を低侵襲の腹腔鏡手術で行っています。

【腹腔鏡下子宮附属器腫瘍摘出術の実際】