呼吸器領域に対する治療

従来の呼吸器領域の手術は約20cm前後の皮膚切開で肋骨、筋肉を切断し、肋間を開胸器で開大しなければなりませんでした(開胸手術)。当センターでは内視鏡を用いた手術(胸腔鏡手術)を行っており、従来の手術法と比べて傷が小さく筋肉や肋骨を切断しないため、術後の痛みや機能の悪化が少ないと考えられています。当センターでは高度の進行病変などを除いては、ほぼ全例に胸腔鏡を用いた手術を行っています。
【呼吸器領域における胸腔鏡手術と開胸手術の施行割合】

【胸腔鏡下肺切除術】
胸腔鏡下肺切除術はHybrid VATS(ハイブリッドバッツ:身体に小さく開けた創から病変を直接観察しながら手術を行う)または完全胸腔鏡下Complete VATSもしくはPure VATS(コンプリートバッツ、ピュアバッツ:終始カメラで映したモニター画面を見ながら手術を行う)のいずれかを行っています。Hybrid VATSでは、皮膚切開は2ヶ所(1cmの胸腔鏡挿入口と4~6cmの手術操作口)で手術を行います。Complete VATSもしくはPure VATSでは、4ヶ所(1cmの胸腔鏡挿入口と鉗子操作口、3cmの手術操作口)で手術を行います。
【胸腔鏡下肺切除術(部分切除)の実際】
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【胸腔鏡下肺切除術(肺葉切除)の実際】
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【胸腔鏡下縦隔腫瘍切除術】
縦隔(じゅうかく)とは左右の肺の間に胸膜で囲まれた空間を指します。ここに、発生する腫瘍を縦隔腫瘍と言います。縦隔には胸腺、心臓、大動脈、食道、気管、リンパ管、神経節などが存在します。縦隔腫瘍は多くは良性ですが、悪性(約20%)も存在し、ほとんどの腫瘍に対して手術を行います。放置すると気管・食道・心臓・神経などが圧迫され種々の症状が現れます。当センターでは、縦隔腫瘍に対しても基本的に胸腔鏡手術を行っています。
【胸腔鏡下縦隔腫瘍切除術の実際】

早期肺がんの患者さんには、全例で低侵襲な胸腔鏡下手術を行っています。一方、進行肺がん(大きい腫瘍、リンパ節転移を認める腫瘍など)に対して、術前化学療法(抗がん剤)と術前放射線療法に対して、気道の確保を目的とした気管支鏡下での腫瘍切除およびステント留置などの対症療法も行っています。当センターでは、肺がん診療に携わる一貫した様々な治療が可能となっています。肺がん治療についてお悩みの方は、セカンドオピニオンも行っておりますのでご相談下さい。